ファスティングに使用できるドリンクは、生絞りジュース以外にも、市販の酵素ドリンクを利用するという方法もあります。少し前に大ブームとなった酵素ドリンクは、もともとファスティングに用いるのがメインの目的でした。
市場にはいろいろな商品がありますが、総じて決して安いものではなく、使用されている素材も様々なので、確かな品質のものを選ぶことが大切です。
 

 酵素ドリンクとは

酵素の重要性が注目され始めてから、「酵素」と名前が付く製品が様々登場しています。
酵素とは、私たちの生命活動に必須の物質であり、全ての細胞の活動や栄養の吸収、体の機能を動かすための媒介となるアミノ酸の１つです。酵素というと消化酵素のアミラーゼなどが有名ですが、消化だけでなく細胞の入れ替えやデトックスなど、これまでファスティングの重要性でもしっかり学習してきた排泄にも大きく関わるため、ファスティングにも酵素の知識は重要です。
酵素は生きている全ての物に含まれており、私たちの体はもちろん生の野菜や果物にも含まれています。また「酵」という同じ文字が付く「発酵食品」にも酵素は含まれています。酵素を無駄遣いしない食生活をするとともに、食べ物でも酵素を取り入れることが重要視され、その中でブームとなったのが酵素ドリンクです。
酵素ドリンクとは、酵素ジュースや酵素シロップ、酵素飲料やエンザイムドリンクなどと呼ばれる事もありますが、野菜や果物などを砂糖と一緒につけ込み発酵させたものです。食材に含まれている酵素で発酵させる手法、市販の酵素を混ぜる手法などを用いて作られた既製品から、手の常在菌で発酵させる手法を用いる手作りの酵素ドリンクまで様々なものがあり、多くの製品が登場しています。

ファスティング中は飲料のみを摂取しながら必要な栄養も取り入れますが、ビタミンミネラルと合わせて酵素の摂取も重要です。100％フレッシュの生ジュースにはナチュラルなビタミン・ミネラルや酵素が含まれていますが、酵素ドリンクもそれらを含むということでファスティングに用いることもできます。
 

酵素ドリンクを用いるファスティング

酵素ドリンクを用いたファスティングは基本同様、ファスティング期間中は酵素ドリンクとたっぷりの水分のみを摂取します。その期間は他ファスティングと同じように半日から可能で、酵素ドリンクドリンクの摂取量は製品により異なります。
その手軽さで一時期ブームとなりましたが、その一方で酵素ドリンクについては考慮が必要な点も多く、様々な意見があります。ここでしっかり学習しておきましょう。

 

 品質の問題

ファスティングの目的の一つは、体内の不要物の排出です。そのためドリンクに添加物等が入っていたのでは意味がないので、無添加のものを選ぶことが大切です。
酵素ドリンクには様々な製品がありますが、品質保持やビタミンなどの栄養価を高めるために添加物が配合されている場合もあり、よく確認する事が必要です。裏の成分表示に「ビタミン・ミネラル」と記載されていると体に良さそうな印象を持ちますが、これは化学的に合成されたビタミン・ミネラルである場合が多く、そのようなものは私たちの体は栄養素として利用できません。
また酵素ドリンクは、発酵させるために多量の砂糖が使用されています。砂糖の弊害はLesson5-3でも学習しました。「酵素ドリンクの砂糖は、発酵処理をしているので砂糖の弊害は打ち消されている」という主張もなされていますが、はっきりと分かっていないのが実情です。しかし、酵素ドリンクを摂取することで血糖値の急上昇が起こるという結果もあります。
以上の点をしっかり考慮し、酵素ドリンクを選ぶ際は品質をよく見極め本当に安心できるものを選びましょう。原料や製造方法が不明な場合は、メーカーに問い合わせることもひとつの手段です。また、原料となる素材も、農薬の使用をできるだけ控えたものを使っているドリンクが望ましいでしょう。

酵素ドリンク内の酵素の有用性

酵素は熱に弱いという性質を持ちます。そのため酵素は生の食物には多く含まれますが、加熱調理をすると変性してしまいます。コールドプレスジュースがファスティングのドリンクとして注目されていますが、それは熱を加えないことにより栄養素の破壊や酸化が最小限に抑えられており、可能な限り生に近い状態で食物の栄養素を余す事無く摂取することに適しているためです。
一方、製品化された酵素ドリンクは、ボトリング時に加熱処理されたものがほとんどです。ボトルに詰める際の加熱処理は法律で定められており必須の工程となり、これにより酵素ドリンク内の酵素が変性してしまう可能性があります。酵素の変性温度は基本的に47℃前後で、発酵食品の酵素は70℃まで耐えるものありますが、ボトリングの加熱処理温度の温度の方が高いため、酵素の有用性に疑問を投げかける声もあります。
酵素ドリンクを選ぶ際は、加熱処理の温度や含まれている酵素の有用性なども確認できる製品を選ぶとよいでしょう。

 価格

酵素ドリンクは1本の価格が5000〜15000円と価格の幅があります。高ければ良いというものではありませんが、「品質」を重視して選ぶべきものですから、価格と品質をよく考慮したうえで判断しましょう。
ファスティングは人生に一度きりの出来事ではなく、定期的に習慣化し続けていくことでより効果がでてきますので、「継続可能な価格」というのも重要なポイントとなります。商品によっては、試供品があったり、返金保証が付いているものがあったりという良心的な販売者もあります。まずは、そうしたものを試してもよいでしょう。
 
■Lesson6-7 まとめ■

• 酵素とは、私たちの生命活動に必須の物質であり、全ての細胞の活動や栄養の吸収、体の機能を動かすための媒介となるアミノ酸の１つ。消化や細胞の入れ替えやデトックスなど、ファスティングを行う上で酵素の知識は重要となる。
• 酵素ドリンクとは、野菜や果物などを砂糖と一緒につけ込み発酵させたものである。酵素ジュースや酵素シロップ、酵素飲料やエンザイムドリンクなどともばれる。
• 酵素ドリンクを選ぶ際は品質をよく確認し、化学合成されたビタミン・ミネラルや添加物などが配合されていないもの、原料や製造方法が安全なもの選ぶとよい。
• 酵素は熱に弱い性質を持つが、製品化された酵素ドリンクはボトリング時に加熱処理されたものがほとんどであり、酵素の有用性が疑問視されているものもある。選ぶ際は加熱処理の温度や含まれている酵素の有用性なども確認できる製品を選ぶとよい。
• 酵素ドリンクは１本でも高額なものがある。ファスティングは定期的に習慣化し続けていくことも重要なため、「継続可能な価格」というのも選択のポイントである。