Lesson2-7 ファスティングとヒンドゥー教②

ヨガと食生活

ヨガの本来の目的は「本当の健康や幸せを見つけること」であるといいます。そのためには、自分自身を知らなければなりません。古代インドの人々は、自分自身を知り自分の心を制御するためには、「食事」が大切であると考えました。
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古代インドの人々の3つの食事

食事には、次の3つの種類があります。

善性優位(サトヴィック)の食品

もっとも人間の健やかさを高めてくれる食品です。全身に生命力や活力を湧き上がらせてくれます。新鮮な食べ物で、香りも味も良い純粋な食品のことで、新鮮な野菜や果物、穀物、ナッツや果物の種子、添加物や農薬に汚染されていない食品を指します。
これらの食品は、健康を増進させ心を静めてくれます。また意識をクリアにして知性を高め、判断力や思考力を高めてくれると考えられています。
 

動性優位(ラジャシック)の食品

肉体を活動的にさせ、精神を高揚させる食品です。スパイスがしっかりと効いていたり、酸味や苦みが強い物や刺激の強い物、焼きすぎた食品などです。たんぱく質が高濃度に凝縮されている食品や、獣肉、魚、卵などがこれにあたります。
こうした食品は体を活発にしますが、同時に攻撃的になったり落ち着きがなくなったりもします。
 

暗性優位(タマシック)の食品

これは、人間の心身の健康を害し、気力や体力を消耗させる不純な食品です。新鮮ではなく、腐っていたり、嫌な臭いがしたりするものが暗性優位の食品とされます。たとえば、手が加えられすぎているもの、工場などで加工されたもの、アルコールやコーヒーなどの依存性の高いものがあげられます。
こうした食品は感覚を鈍らせます。怠惰な気分に陥り、眠気を誘って思考力を低下させます。
 

ヨガを行う上で推奨されている食生活とは

ヨガを行うときには、善性優位の食品を摂るように心がけ、動性優位の食品と、暗性優位の食品は避けるようにし、それと同時に少食にするのが良いとされています。間食を控え、食事の回数も減らしてゆきます。最初のうちは頭痛などの症状(好転反応)があらわれますが、これは体の細胞の中に溜まっていた不純物が排泄されるようになったからです。
またヨガでは、食事をいかにして食べるかという作法も重視されます。ヨガにおいて食事は神聖な行為です。食事は、心を静めて喜びを感じながら頂きます。そうすることで、消化に関する問題も解消されていくと考えられています。
ヨガは現代でも美容や健康のために手軽に取り組めるものとして人気がありますが、せっかく行うのであればエクササイズとしてだけではなく、こうした理念についても理解を深めてヨガを取り入れると、心身ともにメンテナンスできます。ヨガの食事法はファスティング後の復食期間中の食事や、内側から健康で美しくなるための食事法としても理にかなっています
 
■Lesson2-7 まとめ■

  • 古代インドの人々は、自分自身を知り自分の心を制御するためには、「食事」が大切であると考えていた。
  • 善性優位(サトヴィック)の食品・・・もっとも人間の健やかさを高めてくれる食品。新鮮な食べ物で、香りも味も良い純粋な食品のことで、新鮮な野菜や果物、穀物、ナッツや果物の種子、添加物や農薬に汚染されていない食品を指す。
  • 動性優位(ラジャシック)の食品・・・肉体を活動的にさせ、精神を高揚させる食品。スパイスがしっかりと効いていたり、酸味や苦みが強い物や刺激の強い物、焼きすぎた食品など。たんぱく質が高濃度に凝縮されている食品や、獣肉、魚、卵などがこれにあたる。
  • 暗性優位(タマシック)の食品・・・人間の心身の健康を害し、気力や体力を消耗させる不純な食品。新鮮ではなく、腐っていたり、嫌な臭いがしたりするものが暗性優位の食品。手が加えられすぎているもの、工場などで加工されたもの、アルコールやコーヒーなどの依存性の高いものなど。
  • ヨガを行うときには、善性優位の食品を摂るように心がけ、動性優位の食品と、暗性優位の食品は避けるようにし、それと同時に少食にすることがよいとされる。これにより体の細胞の中に溜まっていた不純物が排泄される。
  • ヨガにおいて食事は神聖な行為であり、食事をいかにして食べるかという作法も重視される。心を静めて喜びを感じながらいただくとよい。
  • ヨガの食事法はファスティング後の復食期間中の食事や、内側から健康で美しくなるための食事法としても理にかなっている。