Lesson7-5 好転反応

ファスティングを行う上で、とても大切なのがこの「好転反応」の知識です。ファスティングコンサルタントとして人に指導を行う場合にもとても重要になりますので、しっかり学習していきましょう。
 

好転反応とは?

大掃除を始めると、今まで隠れていたもの、タンスや引き出しの奥にしまっていたものが大量に見えるところに出てきて、掃除を始める前より一時的に散らかって見えたり、大変な状態になることがよくあります。
好転反応はそれとよく似ています。ファスティングを行うことで、体内に溜まっていた老廃物などが排泄され、デトックスが体内で起こり始めます。今まで細胞の奥にしまっていたものが表面に出てくることで様々な反応が出る場合があり、この反応を好転反応と呼びます。
好転反応による症状は人により様々です。

  • 鼻水
  • 咳、たん
  • 下痢、軟便
  • 便秘
  • 吐き気
  • 体がだるくなる
  • 眠気におそわれる
  • 頭痛
  • 湿疹や吹き出もの
  • 体臭の変化
  • 発熱熱
  • 口臭(「舌苔(ぜったい)」が生じます)
  • 手足が冷える…etc.

普段カフェインの摂取量が多い方は頭痛が出やすかったり、肌荒れを起こしにくい方でもポツンと吹き出物ができたりと、人により症状の出方は様々です。
舌苔(ぜったい)とは、舌の表面が白っぽくなる現状です。好転反応の1つとして現れる症状ですが、口臭の原因となりますので、舌苔の対策として、歯磨きの際には舌にもブラシをかけるようにするとよいでしょう(舌苔用のブラシもあります)。
ファスティングをスタートしてから症状が現れるまでの期間や、症状の程度、症状が続く期間なども様々で、これはそれまでの生活で蓄積してきた有害物質や毒素の量により異なりますし、好転反応がでにくい方もいますが、一般的にこれまでの生活で有害物質を体内に多く蓄積している人ほど、この好転反応の症状は重くなる傾向にあります。
 

好転反応が現れたら

ファスティングをスタートして好転反応により様々な症状が出始めると、自分には合ってない方法なのだと途中で中断してしまう方が多くいらっしゃいます。これはとてももったいないことです。
好転反応はデトックスが体の中で起こっている事による反応であり、歓迎すべきことです。あまり過度に心配する必要はありませんので、薬などで症状を抑えることはせず様子を見ながらたっぷりの水分を摂取しデトックスを促しましょう。
 

血糖値の低下による脂肪燃焼

ファスティングの最中には気分が悪くなったり、フラフラしてきたり、頭痛がしたりすることもあります。これは先ほど述べた好転反応によるデトックスの反応と、ファスティングにより血糖値が下がり、脂肪が燃え始めているためにあらわれる反応があります。
体の中に蓄積された栄養素は、必要なときに必要な形に変化して代謝に用いられます。体の中に蓄積される「糖」の量は半日~1日あまりです。それがなくなれば、低血糖を防ぐために「アミノ酸(たんぱく質)」や「脂質」といった体に蓄えられた栄養素が、「糖」に変化して血糖値を上げるように作用します。

栄養の体内蓄積が有用に働かない現代

人類の歴史は、長く飢えとの戦いでした。そのため食糧難の状況に陥ったとしても(つまり何も食べられない状態に陥ったとしても)、血糖値を維持するために「アミノ酸」や「脂質」を「糖」に変化させるという仕組みが、非常に機能的に働いていたと考えられます。食料が手に入ったときにはたくさん食べて栄養素を確保し、体に蓄えておくことが有効でした。

M2020/Shutterstock.com

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ところが、生活が豊かになるにつれて、私たちは基本的には「明日、食べられない」という状況から逃れ、逆にいつでも栄養素を確保できる様になりました。こうなると、スイッチは「糖」を消化吸収する機能に入ったままとなり、「アミノ酸」や「脂肪」を燃やすという機能へは切り替わりにくくなってしまいます。私たちのこのスイッチは、現在、「糖の消化吸収」という一方にのみ電源が入ったままの状態にあるといっても過言ではありません。

ファスティングでスイッチを切り替える

ファスティングでは、人為的に飢餓状態をつくることでこのスイッチを切りかえることができます。それにより今まで「糖」のみをエネルギー源としてきた回路は、私たちの蓄積された「脂肪」もエネルギーとして使用できるようになり、脂肪細胞が分解されていきます。それにより脂肪細胞に溜め込まれていた有害物質を排泄することも出来るようになるのです。
このスイッチが切り替えの際、気分が悪くなったり、フラフラしてきたり、頭痛がしたりする場合もありますが、過度に心配する必要はありません。状況に応じて、ファスティングドリンクを多めに摂取したり、血糖値を少し上げる工夫をするとよいでしょう。
 

ファスティング中の不調はデトックスの祝福

ファスティング中の不調は、私たちの体の中で起こっている様々な変化の現れです。少々つらいものもありますが、歓迎しましょう。
ただし、症状が重くファスティングの継続が困難になる場合もあります。その際は体の不調をおしてまで無理に行うことのないようにしてください。症状が重くしかも長く続くようであれば、ただちにファスティングを中止し、医師の診察を受けましょう。
なお、ファスティング中は、細胞がとても敏感になっています。タバコやアルコールはご法度です。そもそもタバコやアルコールは体にとっては「毒物」です。ファスティングの目的からも大きく逸脱しますので我慢をしてください。