Lesson11-2 体のサイクルを意識して食べる

私たちの体は、基本的に午前中は「排泄」、正午から夕方にかけて「消化」、夜は「吸収」というリズムで活動していることを学習しました。そのサイクルにあわせて食事をすることの大切さは、既に述べたとおりです。
この知識をさらに役立てるために、「何をどのように組み合わせて食べるのか」を意識してみましょう。
 

 朝

午前4時〜正午までは排泄の時間です。この時間、体はデトックスや排泄にエネルギーを使用したい時間帯なので、消化に負担をかけない事がポイントでしたね。消化に負担をかけない食材として、新鮮な果物や野菜がお勧めです。
果物や野菜に含まれる「酵素」を効果的に働かせたり、たっぷりの栄養素を効率よく吸収するためには食べ方のポイントがあります。それは「胃が空っぽの状態で食べる」事です。
特に果物は、たっぷりの水分と酵素の働きにより消化にほとんど時間がかかりません。そのため胃にすでに食べ物が入っている状態で後から果物を食べると、先に入っていた食べ物の消化が終わるまで胃の上部に留まってしまい、胃の中で発酵が始まります。これでは、果物のビタミンやミネラル、たっぷりの酵素も有効に働くことはできません。果物は食後のデザートではなく、空腹時や食前に食べる、ということはとても重要なポイントです。このポイントを押さえただけで、体調が劇的に良くなる方もいます。
朝はこの新鮮な野菜や果物を低速ジューサーでフレッシュジュースにしたり、ミキサーでスムージーにして頂いてもよいでしょう。より消化に負担がかからなくなります。
冷蔵庫から出してすぐのものではなく、室温に戻してから食すようにしましょう。またジュースやスムージーは、ゆっくりと唾液と混ぜたり、噛むことを意識して飲むようにします。こうすることによって血糖値の急激な上昇を防ぎ、体を冷やさなくてすみます。

merc67/Shutterstock.com

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ヘルシーキーワード①血糖値の上昇

果物の中に含まれる「果糖」は、白砂糖や小麦粉などのような精製された食品と違い、血液の中にゆっくりと吸収されていく性質を持つと言われており、また、果糖は肝臓や体の細胞に吸収されるとき、白砂糖やデンプンからつくられる糖分子のように、インスリンの助けを必要としないとされています。そのため、砂糖の弊害の部分で学習したようなダメージを体に与えにくくなっています。
ホールフードの果物は、糖の代謝に必要な成分を全てを併せ持っており、血糖値を急激に上昇させることはありません。食物繊維や様々なビタミン、ミネラル、果物の中にふくまれる水分も一緒に摂取できるからです。血糖値はそもそもブドウ糖により糖の上昇の値を計測しているため、果糖では正確に計測することが難しいですが、果物というホールフードは果糖だけを吸収しているのではないので、糖の弊害よりもメリットのほうが大きいといえるでしょう。
もし糖の影響が気になる方は、甘くない果物を積極的に取り入れるとよいでしょう。グレープフルーツやレモン、酸っぱいベリー類に、アボカドやトマトなども甘くない果物に含まれます。また、食物繊維がある事により糖の吸収が穏やかになるので、スムージーもお勧めです。
 

ヘルシーキーワード②カリウム

果物や野菜を多く摂取することのメリットを本講座では多く学習していますが、カリウムの摂り過ぎが気になるという人もいるのではないでしょうか。
カリウムとナトリウムはともに、生命活動そのものを維持するために不可欠なミネラルです。私たちの体の細胞の中は水分で満たされており、これを細胞内液といいます。細胞内液には、カリウムが多く含まれています。そして、細胞の外側にも水分があり、これを細胞外液といいます。細胞外液は、ナトリウムを多く含みます。これらの濃度やバランスは、常に適切な濃度に保つように調節されています。すなわち、カリウムとナトリウムのどちらかが欠けても、そのバランスは崩れてしまうのです。
現代人は精製塩や塩化ナトリウムの摂取量が増加しており、このバランスが崩れ生活習慣病などに影響しているとも言われています。カリウムはナトリウムを排泄しやすくするため、ナトリウムの過剰摂取による高血圧などを予防するためにはカリウムを十分に摂取することが望ましいでしょう。必要量を上回るとカリウムは排泄されますから、日常的には過剰摂取の心配はありません。生活習慣病の予防という点からもカリウムの摂取は推奨されています。また、むくみが気になる方にもお勧めです。
ただし腎機能が低下している場合には、排泄機能がうまく働かずにカリウムを体内にため込む高カリウム血症を引き起こすことがあります。高カリウム血症は、心疾患を引き起こしますので注意が必要です。医師にそのような診断をされている方は、野菜や果物などの摂取について相談するとよいでしょう。

Elena Hramova/Shutterstock.com

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 昼・夕食

正午〜午後8時までは摂取の時間です。夕食は消化にかかる時間も考えて、この摂取の時間の出来るだけ早い時間にすませることが理想です。体が必要とする栄養素を、食事を楽しみながら摂取します。消化や体の働きを考えたおすすめの食事は、ホールフード(未精製・未加工の食品)を多く取り入れた食事です。
ホールフードとは「加工に極力手を加えていないもの」と考えると分かりやすいでしょう。精製や加工により栄養素の減少がなく、素材そのままのバランスを保った栄養を丸ごと取り入れることができるというメリットがあります。生の果物や野菜はもちろんホールフードです。穀物の場合には、全粒粉や玄米などがホールフードにあたります。現代の食事は精製・加工が行われている物が多いため、意識して未精製の物を食べるようにしましょう。ご飯は白米から玄米に、パンは白いふかふかの物ではなく全粒粉を使用した物に変えるだけでも、精製物の割合を減らすことができます。
肉や魚、卵、乳製品といった動物性食品は、食べすぎない事を意識しましょう。ただし、これらの物を絶対に食べてはいけないというわけではありません。取り入れたい食材を一品選び(今日は牛肉!今日はサバ!というように、一品だけ選ぶ)、一緒にたっぷりのサラダも食べたり、炭水化物との食べ合わせを避ける、もしくはごはんはごく少量に抑えることで、美味しく楽しみながら、消化器官に負担をかけない食事をすることができます。
 
■Lesson11-2 まとめ■

  • 午前4時〜正午までは排泄の時間であり、体はデトックスや排泄の時間帯のため、消化に負担をかけない新鮮な果物や野菜を摂取するとよい。
  • 生の果物や野菜は消化にかかる時間がとても短いため、「胃が空っぽの状態で食べる」がポイントである。果物は食後のデザートではなく、空腹時や食前に食べることを意識すると、体調が驚くほど良くなる人も多い。
  • 果物や野菜は室温に戻してから食すようにする。またジュースやスムージーは、ゆっくりと唾液と混ぜたり、噛むことを意識して飲むと血糖値の急激な上昇を防ぎ、体を冷やさない。
  • 果物や野菜にはカリウムが豊富で、ナトリウム摂取過剰気味な現代人にとってはとてもよい食材である。必要量を上回るとカリウムは排泄されますから、日常的には過剰摂取の心配はない。
  • カリウムの摂取は、腎機能が低下している場合、排泄機能がうまく働かずにカリウムを体内にため込む高カリウム血症を引き起こす場合があるため、そのような診断が出ている方は果物や野菜の食べ方を医師に相談するとよい。
  • 正午〜午後8時までは摂取の時間であり、消化や体の働きを考えたホールフード(未精製・未加工の食品)を多く取り入れた食事がお勧め。
  • ホールフードとは「加工に極力手を加えていないもの」で、精製や加工により栄養素の減少がなく、素材そのままのバランスを保った栄養を丸ごと取り入れることができるというメリットがある。
  • 肉や魚、卵、乳製品といった動物性食は、摂取量は控えたほうがよいが、取り入れたい食材を一品選び(今日は牛肉!今日はサバ!というように、一品だけ選ぶ)、一緒にたっぷりのサラダも食べたり、炭水化物との食べ合わせを避ける、もしくはごはんはごく少量に抑えるなどの工夫により楽しんで食べる事もできる。