Lesson9-7 代謝③ 酵素の取り入れ方

体内の酵素と食品中の酵素

私たちの体の中では、毎日一定の体内酵素が作られ、それらが消化酵素・代謝酵素としてそれぞれの役割を果たしています。両方の酵素がバランスよく機能していればよいのですが、体内で産生される酵素の量には限りがあり、現代ではそのほとんどは消化に用いられています。
ですから私たちは、栄養素とともに、栄養を吸収するのに必要な代謝の触媒となる「酵素」も積極的に取り入れる必要があります。では、どのような食品から酵素を摂取すればよいのでしょうか。
酵素はタンパク質でできており、熱に弱いという話を思い出してください。つまり、熱を通していない食品、「生の食材」や「発酵食品」などには酵素が多く含まれていますが、調理や加工を施した食品では酵素はすでに変性しており、触媒としての役割を果たすことはできません
ですから、酵素を取り入れようとする食事は、積極的に「生のもの(raw food 生のままの食べ物)」をとりいれたものとなります。
pexels-photo-126350
 

酵素を助けるビタミン

酵素を効率よく働かせるためには、ビタミンが不可欠とされます。この意味でビタミンを「補酵素」ともいいます。特にビタミンが不足すると、代謝系の機能が働きにくくなるためさまざまな症状(ビタミン欠乏症)が出てきます
私たちの体ではビタミンを合成することができないので、ビタミンは食品から摂取しなければなりません。つまり、代謝を円滑に行うためには酵素だけ摂るのではなく、同時にビタミンも摂取しなければならないのです。
このように、細胞を健康な状態に保つためには「代謝」が円滑に行われることが必要です。私たちが生きるために必要な栄養素は多々ありますが、この「酵素」と「ビタミン」は特に意識するとよいでしょう。ビタミンが不足すると「酵素」をうまく助けることができなくなるために「代謝」にも支障が出てきます。
 

海外セレブも大注目!Raw Food(ローフード)とは

コールドプレスやスムージーが日本では流行していますが、海外セレブが注目しているヘルシー&ビューティーな食事法の1つがこのローフードであり、コールドプレスジュースもスムージーも、このローフードという食事メニューの一部と表現することもできます。
ローフードとはその名前の通りRAW(生)を活かした非加熱の食事が基本です。また、酵素の性質を活用し、加熱する場合も47℃以下の温度を保ち、酵素が変性しないようになっています。ローフードの特徴は酵素をたっぷり含んでおり消化に負担がかかりにくい事、熱に弱いビタミンなどの栄養素をそのまま摂取できる事など、様々なメリットがあります。
これまで学習してきた代謝について、重要なのは触媒となる「酵素」とその働きを助ける補酵素である「ビタミン・ミネラル」でした。ローフードではその両方を同時に効率よく摂取できるため、海外では美容・健康食としてだけでなく、自然療法としても用いられています。
生の食べ物と言われると、サラダのような物が思い浮かぶかもしれませんが、そのバリエーションは実に様々で、素材の色を活かした美しいローパスタや一見普通のケーキと見分けがつかないスイーツまであり、その美味しさも人気の秘密です。

ローチョコケーキ Michal Struska/Shutterstock.com

ローチョコケーキ Michal Struska/Shutterstock.com


 
■Lesson9-7 まとめ■

  • 現代では消化酵素として酵素が浪費されてしまっているため、食べた食事をうまく代謝させるためにも、酵素を多く含む食事を意識するとよい。
  • 酵素を効率よく働かせるためには、ビタミンが不可欠であり、ビタミンは「補酵素」ともよばれている。
  • 熱に弱い酵素とビタミンを効率よく摂取する調理法の1つに、ローフードがある。基本的に非加熱調理であり、加熱する場合も47℃以下で調理するため、酵素が変性せずビタミンもそのまま摂取できる。