Lesson9-3 循環器系

ファスティングにより血液がきれいになると、それに関連して様々な機能がうまく機能するようになります。その1つが、全身に血液を送り出している循環器系です。
 

心臓の構造

心臓や血管のように、血液を体中に巡らせる働きをしている器官をまとめて「循環器系」と呼びます。中でも最も重要な位置を占めるのは心臓です。
肺循環(※1)と体循環(※2)という異なった役割を持つポンプが、2つ合体しているような構造をしています。1回の拍出量(※3)は約70ml、1分間では約5ℓとなります。血液の総量は個人の体型にもよりますが、約5ℓですので、血液はだいたい1分をかけて体を一巡りし、もう1分かけて肺を一巡りするということになります。
心臓は筋肉の塊です。ですから、心臓を動かすためには心臓そのものにも血液が流れていなければなりません。この血液が流れる血管が「冠動脈」といわれる血管です。冠動脈の血液の流れが悪くなると、心筋梗塞や狭心症といった病気を引き起こします
※1 肺循環:右心室を出て肺に入り、肺を出て左心房へ入るという血液の流れ。
※2 体循環:左心室を出て全身をめぐり、全身から右心房へ戻ってくるという血液の流れ。
※3 拍出量:心臓から送り出される血液の量。

okili77/Shutterstock.com

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心臓の構造
superior vena cava:上大静脈
RIght Venticle:右心室
RIght Atrium:右心房
Aorta:大動脈
Left Atrium:左心房
Left Venticle:左心室

 

心拍数

心臓はポンプの役割を持っているため、収縮を行います。この収縮を脈拍として観察することができます(※1)。脈拍は、皮下の浅いところを走っている動脈に触れると感じることができます。一般には手首(橈骨(とうこつ)動脈)を用いますが、ほかにも鼠径部(そけいぶ)、頚部(けいぶ)などでも観察することができます。脈拍を観察するときには、人差し指、中指、薬指の3本で確認すると、はっきりと拍動を感じられます。安静時の正常な心拍数は、およそ60~80/分です(※2)。
このリズムや数が狂うのが不整脈です。不整脈の中には、速やかに処置を行わないと死に至るものもあります。この時に用いると生存率が高まると期待されているのが、AED(Automated External Defibrillator自動体外式除細動器)です。すべての不整脈に有効なわけではありませんが、救急隊が到着するまでに市民が行うべき救命活動の一つとして普及するようになりました。
※1 ただし、必ずしも心拍数=脈拍数ではありません。
※2 子どもの場合にはやや多くなります。幼児が約100/分、乳児が約120/分です。

narin phapnam/Shutterstock.com

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血圧

「血圧が高い」と聞くととても健康に悪そうなイメージがありますが、実際血圧が高い、低いというものの仕組みをご存知でしょうか。
血圧とは血管の壁を押す力(圧力)の強さのことです。ですから、体の場所によってその値は異なります。血圧は、水圧と同様に「血管の容量」「血液量」「心臓の力」という3つの要素で決定します。ですから、

  • 血管が拡張する
  • 血液の量が減る
  • 心臓の力が弱くなる

という状況になれば血圧は下がり、逆の状況になれば上がります。例えば動脈硬化等によって血管が狭くなると、その先に血液が行き届かなくなりますので、より強い力で血液をたくさん押し出そうとして血圧が上がるのです。
一般に血圧を測定するときには、動脈の圧力(動脈圧)を測ります。動脈圧は、心臓(心室)が収縮したときには高くなり、拡張したときには低くなります。これが「最高(大)血圧(または収縮期血圧)」と、「最低(最小)血圧(または拡張期血圧)」です。
正常血圧は、120/80mmHgほどですが、自律神経(※)の影響を受けるので、運動したり緊張したりすると血圧は上昇します。高血圧の定義はいろいろあるのですが、WHO(世界保健機関)では、160/95mmHg以上のものと定めました。
※ 自律神経:交感神経と副交感神経のこと。交感神経は体を活発にし、副交感神経は体を安静な状態に導きます。
 

降圧剤は必要か

高血圧となる原因は様々な要素がありますが、「高血圧の状態である」ということは心臓に負担をかけ、血液の状態が良くない事を表す1つの数値となり、生活習慣病の予備症状とも言えるものでしょう。
ただ、高血圧の数値基準について疑問の声があるのも事実です。本来であれば健康に全く問題ないであろう健康状態を維持できる適正数値範囲内の値でも、高血圧という基準にしてしまったり、高血圧を必要以上に危険な状態と見なすことで、根本原因を探ろうとせずに降圧剤を処方する現代医療では医療費が膨らむばかりです。これには様々な産業構造の裏事情がありますが、これにより多くの利益を得ている組織があることもまた事実です。
血圧が高くなっている状態には何らかの根本原因があります。薬を服用する前に、その原因を突き止め、食生活を改善したりファスティングを行うことで改善する努力をするほうが、健康維持のためには合理的な判断とも言えます。
 
■Lesson9-3 まとめ■

  •  心臓や血管のように、血液を体中に巡らせる働きをしている器官をまとめて「循環器系」と呼び、中でも最も重要な位置を占めるのは心臓である。
  • 心臓は肺循環と体循環という異なった役割を持つポンプが、2つ合体しているというような構造をしている。
  • 心臓は血液を送り出すポンプであり、その収縮を脈拍として観察することができる。通常は一定のリズムで収縮を繰り返しているが、そのリズムや数が狂うのが不整脈である。
  • 不整脈の中には、速やかな処置が必要となる場合もあり、この時に用いられると生存率が高まると期待されているのが、AED(Automated External Defibrillator自動体外式除細動器)である。
  • 血圧とは血管の壁を押す力(圧力)の強さのことで、血圧は「血管の容量」「血液量」「心臓の力」という3つの要素で決定する。血管が狭くなったり、血液の量が増えたり、心臓の力が強くなると血圧が上がるが、血液がドロドロになりより強い力で押し出さないと血液が流れない状態で血圧が上がっている状態は、心臓に大きな負担をかける。
  • 高血圧の状態は心臓に負担がかかりあまりよい状態とは言えないが、血圧が高くなっている状態には何らかの根本原因がある。薬を服用する前に、その原因を突き止め、食生活を改善したりファスティングを行うことで改善する努力をするほうが、健康維持のためには合理的な判断である。