Lesson9-2 血液の働き②

血液が担う役割はとても重要です。白血球が大きく関わる「免疫」と、赤血球が関わる女性の悩みに多い「貧血」はその中でも身近なキーワードでしょう。
 

免疫とは

自分自身の細胞や組織を「自己」といいます。自己以外の全ては、たとえ血縁関係にある細胞であろうとも「非自己」です。「免疫」とは、この自己と非自己を認識し、非自己は排除するという仕組みをいいます。免疫反応を引き起こすものを「抗原」といいますが、非自己は全て抗原となり得るのです。
体内に「抗原」が侵入してくると、私たちの体内では戦闘状態に突入します。このときに「抗原」に対して攻撃を専門に仕掛けるのが、先ほども図で確認した「単球」「好中球」「好酸球」「好塩基球」の4つです。特に、「好中球」は血液中にたくさん存在しているので、全身どこへでも緊急出動し、大量に動員できます。好中球は血管の隙間を潜り抜けて、細菌のいる場所へ突き進んでいきます。
これに対してリンパ球は、攻撃だけではなく、自己か非自己かを識別したり、攻撃の統制を行ったりもします。ある抗原が体内に侵入すると、それに対する「抗体」が作られ、二度目以降の攻撃にはすぐに対応できるようになります。例えば一度「麻疹(はしか)」にかかると、二度はかかりません。これは、体内に「麻疹」に対する「抗体」が作られて生涯有効となるからです。このような仕組みも、リンパ球の働きによるものです。
予防接種は、この働きを利用してあらかじめ弱い「抗原」を体内に入れて白血球に学習をさせることにより、感染を防いだり重篤な状況になるのを防いだりしようとするものです。
このように、白血球は免疫という役割を担っています。ですから、白血球が正常に活動できる体内環境を整えることが、健康への第一歩です。
 

貧血

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女性に多いとされる疾病の一つに、貧血があります。貧血は、その原因により

  • 鉄欠乏性貧血
  • 再生不良性貧血
  • 溶血性貧血

という3つに分類されます。
貧血は、血液の酸素を運ぶ能力が低下した状態です。血液が酸素を運ぶのは、赤血球の大部分を占めるヘモグロビンという物質が酸素と結びつきやすい性質を持っているためです。ヘモグロビンの合成には「鉄」が必要となりますが、胃や腸の調子が良くないと、鉄を吸収しやすい形に変化させることができないため鉄が不足します。鉄は肝臓にも蓄えられているので(動物の肝臓「レバー」が貧血によいといわれるのはこのため)、肝臓の機能が衰えても、鉄が不足するようになります。
このような「鉄」不足の状態がいわゆる「鉄欠乏性貧血」といわれるもので、貧血の人のほとんどはこのタイプです。
なお、「再生不良性貧血」は血液を作り出す骨髄の機能不全によるもの赤血球の生産量を上回る勢いで赤血球が破壊されている状態のものを「溶血性貧血」といいます。
 
■Lesson9-2 まとめ■

  • 自分自身の細胞や組織を「自己」、自己以外の全ては「非自己」として、「免疫」とはこの自己と非自己を認識し、非自己は排除するという仕組みをいう。
  • 体内に「抗原」が侵入してくると、私たちの体内では戦闘状態にする。このときに「抗原」に対して攻撃を専門に仕掛けるのが「単球」「好中球」「好酸球」「好塩基球」の4つである。
  • リンパ球は、攻撃だけではなく自己か非自己かを識別したり攻撃の統制をおこなう。
  • 予防接種はあらかじめ弱い「抗原」を体内に入れて白血球に学習をさせることにより、感染を防いだり重篤な状況になるのを防いだりしようとするものである。
  • 貧血は ①鉄欠乏性貧血②再生不良性貧血③溶血性貧血の3つのタイプがある。
  • 胃腸の調子が悪く鉄を吸収しやすい形に変化させることができないため場合、また肝臓の機能が衰えた場合などに鉄が不足して起こる貧血を鉄欠乏性貧血といい、一般的な貧血はほとんどこのタイプである。