Lesson9-1 血液の働き①

Lesson9では、私たちの体のメカニズムについて学習していきます。
これまでの内容で、私たちの食やデトックスの大切さ、体本来の機能を取り戻すためのファスティングを学習してきた事により、多くの知識が身に付いていることでしょう。
ここからは少し難しい用語も登場しますが、自分自身の体についてしっかり知っておくのはとても重要です。ファスティングの実践でも役立ち、人に指導する際にも知識の多さでアドバイスの幅や広がりに違いが出ますので、自分の体を想像しながら学習を進めて行きましょう。
 

血液の健康

私たちの体は、約60〜100兆の細胞で構成されています。この細胞一つ一つがその役目を果たすためには「血液」の力が必要です。
ファスティングは血液をきれいにし、余分なコレステロールを取り除くことで様々なメリットが得られます。血液がさらさらになり代謝が上がるだけでなく、疲れやすかったり肩こりが酷い方にも改善が見られるようになります。
どの細胞にも、血液が滞りなく流れていることが、健康の第一条件なのです。
 

 血液の役割

  • いろいろなものを運ぶ・・・血液は、酸素・栄養分・ホルモン・老廃物などを運びます。
  • 体を病原菌などから守る・・・「免疫」といわれる機能です。
  • 血管が破れたときには、止血をする・・・血液は固まる機能(凝固能)があるので、破れた血管を自動的に修復することができます。

phullop balla/Shutterstock.com

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血液の成分

では、血液の成分について理解を深めていきましょう。血液の成分は大まかにいうと次のような構成になっています。

血液の成分

  • Plasma(血しょう) : 55%
  • White blood cell(白血球) : 1%以下
  • Platelets(血小板) : 1%以下
  • Red blood cell: 赤血球 : 45%

※馴染みの有る物から学習していくほうが頭に入りやすく学習効率がよいため、上とは順番を変更し、まずは白血球、赤血球から見て行きましょう。
 

白血球

白血球の役割は「免疫」です。外部から細菌が侵入したりガン細胞があらわれた際には、これを殺して体を守ってくれます。
一口に「白血球」といっても、下図のように「単球」「好中球」「好酸球」「好塩基球」「リンパ球」の5つの種類があります。細菌に感染すると好中球が増加し、ウィルス感染ではリンパ球が増加するというように、これらの数は、病気によって変化します。ですから、白血球の数を調べると、どんな病気にかかったのかを知る手がかりとなるのです。
免疫については次ページで詳しく学習していきます。

Puwadol Jaturawutthichai/Shutterstock.com

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白血球の成分

  • Monocyte: 単球
  • Eosinophil: 好酸球
  • Basophil: 好塩基球
  • Lymphocytes: リンパ球
  • Neutrophil: 好中球

 

赤血球

赤血球は、酸素の運搬に関わります
図のように中央部が凹んだ独特の形をしていますが、これは表面積を大きくしてよりたくさんの酸素と触れ合えるようにするためです。またこの形は、中央が凹んでいて薄くなっているので、折れ曲がることができます。つまり、細い血管も通過することができるという、すぐれた形状なのです。

brovkin/Shutterstock.com

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赤血球の成分の大部分は、ヘモグロビンという物質で、これはヘムという色素と、グロビンというたんぱく質からできています。
このヘムは、鉄とその他の成分からできているのですが、それぞれの役割を終えた後、ヘムとその他の成分は分別されます。鉄の部分は、肝臓で再びヘモグロビンを作るために再利用されるのですが、鉄以外の部分はビリルビンという廃棄物に変化して、胆汁のなかに捨てられることになります。
赤血球やヘモグロビンというと、女性の悩みとしては貧血などが上げられるでしょう。これも次ページで学習していきます。
 

血小板

血液は、しばらく放置すると固まってきますね。これを凝固といいます。血管が何らかの衝撃で、破れてしまった場合には、この血小板が集まってきて傷にフタをするように固まります
 

血しょう

血しょうは、血液の液体成分です。血しょうの主な働きは次の4つになります。

  1.  酸素以外のものを運ぶ
  2. 止血
  3. 体の水分調整
  4. 免疫

細胞に届ける栄養分や、臓器に命令を伝えるホルモン、老廃物など、酸素以外のものは全て血しょうが運びます。
②また血しょうは、血小板とともに止血の役割も果たしてくれます。血しょうに含まれているフィブリノーゲンというたんぱく質は水に溶けるのですが、これが重なり合ってフィブリンという物質に変化すると、水には溶けなくなってしまいます。フィブリンがさらにからみあって網をつくり、そこに赤血球が絡むことによって塊(血餅けっぺい)ができるので、血小板の上に頑丈な赤血球のフタをすることができ、止血が完成するのです。
③血しょうは、細胞外液(※)がタンパク質を含んだものです。これを「血漿蛋白」といい、アルブミンというグループと、グロブリンというグループとに分類されます。アルブミンは、体内の水分調節を行う重要な役割を担っているので、アルブミンが低下すると浮腫(ふしゅ=むくみ)が生じます。
アルブミンは肝臓で作られます。また、腎臓の機能が低下すると、尿中にもれだしてしまいます。ですから、肝臓や腎臓の機能が低下すると、血中のアルブミン濃度が低下し、むくみの症状が出るのです。
④一方のグロブリンの中で、特にγグロブリンと呼ばれるものはそのほとんどが「抗体」です。つまり「免疫」の機能は、先に述べたさまざまな白血球と血しょう中に含まれる抗体とが、共同で行う作業なのです。
このように血しょうは、体内の水分を調節したり、免疫機能を担ったりと重要な役割を果たしています。
※ 細胞外液:細胞を取り巻く液体のこと。血しょうのほかにリンパ液などがあります。
 
■Lesson9-1 まとめ■

  • 私たちの体は約60〜100兆の細胞で構成されており、どの細胞にも、血液が滞りなく流れていることが、健康の第一条件となる。
  • 血液には、①酸素・栄養分・ホルモン・老廃物などいろいろなものを運ぶ機能②「免疫」といわれる体を病原菌などから守る機能、③血管が破れたときには、止血をする機能など、様々な機能がある。
  • 血液はおおまかに①血しょう②白血球③血小板④赤血球で構成されている。
  • 白血球の役割は「免疫」である。
  • 赤血球は酸素の運搬に関わる。表面積を大きくしてよりたくさんの酸素と触れ合えるようくぼんだ形をしており、折曲がることで狭い血管も通ることができる。
  • 赤血球の成分の大部分はヘモグロビンという物質で、これはヘムという色素と、グロビンというたんぱく質からできている。
  • 血小板は凝固の役割を持つ。血管が何らかの衝撃で破れてしまった場合には、この血小板が集まってきて傷にフタをするように固まる。
  • 血しょうは①酸素以外のものを運ぶ、②止血、③体の水分調整、④免疫などの機能を持つ。
  • 細胞に届ける栄養分や、臓器に命令を伝えるホルモン、老廃物など、酸素以外のものは全て血しょうが運搬している。