ファスティングドリンクの種類やそれぞれのメリットデメリットもしっかり学習した上で、少しずつ試しながら自分にはどのドリンクが合うのかを選んで行きましょう。
ファスティングに興味がある方は普段からナチュラル志向の方が多く、そのような方達に最も人気が高いのはコールドプレスジュースや低速ジューサーで手づくりした100%フレッシュな生絞りジュースです。
素材の選び方や材料のカットなどはLesson6で学習しました。ここでは、ファスティング期間を楽しんで取り組めるジュースレシピを修得しましょう。基本理論を修得することで、レシピ通りの食材でなくとも自由にアレンジができるようになります。
レインボーカラーが魅力的なジュースの力
野菜や果物の魅力は、ビタミン、ミネラルなどの微量栄養素が有名ですが、現代で最も注目されているのは「ファイトケミカル」です。これは野菜や果物の色を決めている色素成分であり、苦みや香りなどの成分でもあります。その抗酸化力の高さから、アンチエイジングや様々な健康増進に有益と期待されており、ジュースではこれを活用することで、毎日飽きる事のない美味しくて美しいジュースを楽しむ事ができます。
ファイトケミカルとは
赤ワインのボリフェノール、トマトのリコピン、ブルーベリーのアントシアニン、大豆のイソフラボンなど、最近耳にするものも多くなりました。
ファイトケミカルとは、植物が持つ、色・香り・苦味などの成分です。足がなく外敵から逃げられない植物が、外敵や紫外線から身を守るために身につけた物質で、人の体を維持していくためにも大きな効能を持つ物質です。野菜や果物などを含めた全ての植物の葉、果皮、種、茎、根などに含まれていて、一つの野菜にいくつものファイトケミカルが含まれています。
ファイトケミカルの種類は数千種類〜1万種類はあると言われています。植物全般に含まれるため種類が多く、栄養効果も多彩です。活性酸素を取り除く抗酸化作用以外にも、老化、動脈硬化、コレステロールなどの広範囲にわたる病気の予防や、体質の改善に優れていることがはっきりと分かってきました。中でも抗がん作用に期待が集まっています。また、ファイトケミカルは、加熱調理でも栄養素が破壊されにくいという特徴もあります。
ファイトケミカルはカラーで覚える
ファイトケミカルには様々な種類があり、また分類も多く全てを覚えるのは難しく現実的ではありません。そこで活用したいのが7色のカラーによる分類です。
色によって様々な効能がありますが、難しく考えすぎず色それぞれが持つ健康と美容への大きな力を感じながら取り入れてみましょう。手作りジュースでは食材が偏りがちになりますが、カラーで分類することで簡単に多くのファイトケミカルを摂取することができます。
普段はなかなか全てのカラーを取り入れる事が難しい7色のファイトケミカルですが、ファスティング中の手作りジュースでは簡単に摂取できるようになります。
7色のファイトケミカルの分類
まずはそれぞれのカラーの食材と効果をチェックしていきましょう。ジュース素材として活用できる食材も合わせてマスターしていきます。
赤のファイトケミカル
赤は血の色と同じカラー。そのイメージに違わず、全身の血の巡りを良くする事で代謝を高め、内側からエネルギーがアップするような疲れにくい体づくりに役立ちます。
赤の食材
ビーツ・ラディッシュ・赤玉ねぎ・赤紫蘇・クランベリー・赤ぶどう・トマト・スイカ・レッドペッパー・赤ピーマン・リンゴ・金時人参・・・など
- リコピン・・・スイカやトマトにふくまれるカロテノイドの一種・ビタミンEの100倍、カロテンの2倍以上の抗酸化力を持つ。がん予防、動脈硬化予防、紫外線・アレルギー対策などに効果が期待できる。
- カプサイシン・・・赤唐辛子などに含まれる辛味成分で、リコピンと同等かそれ以上の抗酸化力を持つ。がん予防、動脈硬化予防、善玉コレステロールの増加などに効果が期待でいる。
- ベレタイン色素・・・ビーツに含まれる色素成分で、非常に強い抗酸化力を持つ。免疫力アップや、抗アレルギーなどでも注目を集める成分である。
- ルテオリン・・・赤紫蘇やペパーミント、赤ピーマンなどに含まれるポリフェノールの一種で、解毒作用に優れている。抗アレルギー作用も注目を集めており、花粉症などにも有用とされる。
オレンジのファイトケミカル
オレンジの食材は多くの栄養素をバランスよく含んでおり、体のリセットにも有用な素材です。
オレンジの食材
にんじん・みかん・オレンジ・オレンジトマト・オレンジパプリカ・金柑・カボチャ・カボチャのたね・黄桃・マンゴー・アプリコット・スイスチャード・・・など
- カロテン(プロビタミンA)・・・体内でビタミンAに変換され作用する重要成分で、抗酸化作用、血行促進、眼精疲労防止など体の調整に優れる一方、がん予防、コレステロール調整などの効果も期待されている。さらに肌のシミやしわなどへの美容効果も大きい。かぼちゃ、にんじん、ほうれんそうなどの緑黄色野菜に多く含まれる。
- フラボノイド・・・ポリフェノールの一種で、抗酸化作用をはじめ、血行促進や糖の代謝など生活習慣病全般の改善に作用する注目の成分である。オレンジに豊富に含まれる。
- β-クリプとキサンチン・・・糖代謝や脂質代謝の改善、血行促進などで今注目を集めている成分で、オレンジやみかんに多く含まれており特に温州みかんに多い。
黄のファイトケミカル
黄色といえばレモンやグレープフルーツ、パイナップルなど爽やかな味わいを持つものが多く、使用にも様々なメリットがあるため女性に人気が高いカラーです。酸味のある味わいはリフレッシュにも最適です。
黄の食材
レモン・パイナップル・パパイヤ・グレープフル—ツ・ゆず・黄にんじん・黄トマト・トウモロコシ・バナナ・ネクタリン・スイスチャード・ターメリック・・・など
- エリオシトリン・・・抗酸化力が強く、肥満防止にも有用であると今話題の成分で、レモンの皮に多く含まれるポリフェノールの一種。
- ヘスペリジン・・・毛細血管の出血を防ぎ、ウイルスやアレルギーに対応する作用がある。肥満防止にも有益とされる、オレンジやゆずに含まれるポリフェノールの一種。
- フラボノイド・・・毛細血管の血管壁を補強して血流を促す作用を持ち、レモン、かんきつ類や緑黄色野菜にも多く含まれる。
- ルテイン・・・加齢による視力低下予防、がん予防、動脈硬化予防、肺機能の向上に有用とされる成分で、とうもろこし、ゴールドキウイや緑黄色野菜に含まれる
- ゼアキサンチン・・・加齢による視力低下予防、がん予防に効果的とされている成分で、ルテインに似た性質を持ち、体内でルテインと共に作用する。パパイア、とうもろこし、ブロッコリーやほうれんそうなどの緑黄色野菜に含まれる。
- クルクミン・・・肝臓の働きに作用し、解毒作用を高める効果があるため二日酔いにも有効な成分として有名だが、さらに美肌効果も期待できる。ターメリックに含まれているポリフェノールの一種。
緑のファイトケミカル
デトックスにはまずグリーン!と言えるほど、様々な有用成分が多いカラーです。現代人の多くが感じている「なんとなくの不調」の改善に最適であり、高いデトックス効果で血の巡りや内蔵を整えてくれます。
緑の食材
ほうれん草・小松菜・パセリ・パクチー・ブロッコリー・ケール・ミント・ルッコラ・バジルなどの色の濃い葉物野菜、青リンゴ・ライム・キュウリ・青トマトなど全ての青物野菜
- クロロフィル・・・がん予防、コレステロール調整、血中脂肪の正常化に役立ち、貧血予防や解毒作用に加え、消臭・殺菌効果や美肌効果も期待できる。ほうれんそう、モロヘイヤ、ブロッコリー、おくら、春菊、緑ピーマンなど緑の野菜に含まれているポリフェノールの一種。
- ルテイン・・・カロテノイドの一種で、網膜を保護する働きが強く、目の健康や紫外線の対策にも有効に作用する。ほうれん草やケールなどの緑黄色野菜やベリーなどに含まれる。
- インドール-3-カルビノール・・・高い抗酸化作用に加え、女性ホルモンに作用してガンのリスク低下に貢献する成分として注目されている。ブロッコリーなどに含まれるポリフェノールの一種。
紫のファイトケミカル
スーパーフードのアサイーで有名となったアンチエイジングに有用な紫のカラー。アンチエイジング効果はもちろん、疲労回復や女性としての魅力アップなど、女性にとってぜひ取り入れたいものばかりです。その色が濃いほど抗酸化力は高くなります。
紫の食材
ブルーベリー・ぶどう・紫キャベツ・プラム・なす・スモモ・紫キャベツ・・・など
- アントシアニン・・・高い抗酸化作用を持ち、脂質代謝の改善に役立ち、また眼精疲労や加齢による視力低下予防・改善、肝機能の保護や毛細血管の血流改善による筋肉の緊張をほぐすなど、多くの有用性が注目を集めている成分。なす、紫いも、赤しそ、紫キャベツ、トレビス、ベリー類などに含まれるポリフェノールの一種。
- レスベラトロール・・・高い抗酸化作用があり、特に記憶を司る器官の血行促進による脳機能改善効果で話題となったポリフェノールの一種。メラニン生成の抑制や細胞活性化力などから美容成分としても注目をあつめている。ぶどうやベリー類に含まれている。
黒・茶のファイトケミカル
土のカラーでもある茶色や黒は、体の根本からエネルギーを底上げする力を備えていると言われています。疲れやすい時やエネルギー不足を感じた時に取り入れるとよいでしょう。
黒・茶の食材
ごぼう・生姜・ヤーコン・カカオニブ・コーヒー豆・クルミ・玉ねぎの皮・・・など
- クロロゲン酸・・・コーヒーの苦味や香り、ごぼうやジャガイモなどの野菜の切り口を変色させる、ポリフェノールの一種。糖分の吸収に関わり、中性脂肪の蓄積を予防したり、糖尿病などの生活習慣病の予防に役立つとして注目されている。ダイエット効果も期待できる、ごぼう、ヤーコン、じゃがいも、バナナ、なすなどに含まれる成分。
- クェルセチン・・・抗酸化作用・抗炎症作用に優れ、アレルギーにも有用であるフラボノイドの一種。血管の老化防止やビタミンCの吸収を助けるなど、女性にうれしい成分。カカオやブロッコリー、ベリーなどに含まれる。
白のファイトケミカル
色が薄いと有用成分が少ないように感じますが、そんな事は有りません。淡色野菜は内蔵に優しく作用し、疲れを癒す効果が期待できます。独特の香りを持つ物も多く、リラックスできるジュースを作る事ができます。
白の食材
セロリ・フェンネル・カリフラワー・キャベツ・レタス・カブ・大根・メロン・にんにく・・・など
- イソチオシアネート・・・スプラウト類や大根などの辛味成分であり、キャベツなどにも含まれる。消化を促進し異常細胞に作用することから、がん予防にも有用とされる。また解毒作用による肝機能向上によりコレステロール調整、血液さらさら効果も期待できる。アブラナ科の野菜に多く含まれている。
- 硫化アリル・・・にんにくの刺激臭や辛味成分、玉ねぎを切るとき涙が出てくる原因となる成分で、血液循環を良くしさらさらにする作用で話題となっている。その他、疲労回復や免疫力アップなどのメリットも大きい。
- アビゲニン・・・腫瘍や悪玉細胞の軽減に有益と近年の研究で分かってきており、話題となっている、セロリなどに含まれるポリフェノールの一種である。抗酸化作用に加え、その香り成分には心身の鎮静作用、リラックス作用もある。
ファイトケミカルは植物からの贈り物、その色は天然の宝石のように美しいものです。カラフルなジュースにするとその美しさがより際立ちます。ファスティング中の食への執着をも沈めてくれるレインボーカラーを楽しみながらファスティングに取りくみましょう。
次からはそれぞれのカラーのジュースレシピや組み合わせの組み立て方をご紹介します。
■Lesson8-1 まとめ■
- 野菜や果物の魅力は、ビタミン、ミネラルなどの微量栄養素に加え現代で注目を集めている「ファイトケミカル」がある。これは野菜や果物の色を決めている色素成分であり、苦みや香りなどの成分でもある。
- その抗酸化力の高さからアンチエイジングや様々な健康増進に有益と期待されている。
- ファイトケミカルには様々な種類があるが、難しく全てを覚えようとせず7色のカラーによる分類を活用し、様々なカラーを取り入れるよう意識するとよい。
- それぞれのカラーの効能や代表的なファイトケミカル、素材などは把握しておくと便利である。