Lesson1-2 ファスティングとは何か

今ファスティングが世界的に注目を集めている事はIntroductionでもご説明しました。「断食」という言葉自体は大変古い歴史を持ちますが、今ファスティングに注目が集まっているのはいったいなぜなのでしょうか。

ファスティングとは?

ファスティングは、「断食」と訳されます。そのように聞くと、僧の修行や厳しいイメージを思い浮かべますが、近年のファスティングはこれまでの宗教的な「断食」とは異なり、何日も全く食事をしないわけでありません。
「デトックス」や「クレンズ」「プチ断食」とも言われる現代のファスティングは、必要な栄養素を摂取しながらも、以下の点に着目して体の不調を取り除こうとする、スタイリッシュで先進的かつ、体本来の機能をしっかりと活用した合理的な健康法の一つです。

  • エネルギーを消耗する「消化」を一時、休止させる
  • 体内外の「酵素」の力を活用する
  • 「代謝」が行われやすい体を作る
  • 消化を休止させることにより「排泄」を促す
  • 「食生活」を見直す(食べ物をいつ、どのような組み合わせで食べればいいのかを学ぶ)・・・など

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これらがファスティングを行う目的です。なぜこれらの点に着目することで美しく健康的になれるのか、という詳しい理由や理論については、Lesson3で体の原理を詳しく学習しながら理解を深めていきますが、1つだけ最も重要な「消化」について、ここで少し学習しておきましょう。

エネルギーを大量に消耗する「消化」を一時的に休止させる重要性

エネルギーを消費する行動として私達が真っ先に思い浮かべるのは、エクササイズやランニングなどの運動でしょう。しかし、私たちが日常的に莫大なエネルギーを費やしているのは、実は毎日の「食事・消化作業」なのです。
たとえば、30~49歳の女性の場合、1日に必要とされる推定エネルギー量は、1700~2300kcal(「日本人の食事摂取基準(2015 年版)」)とされています。1700kcalというのは、毎日デスクワークを中心とするような行動が多い人の値ですが、この1700kcalのうちのおよそ60〜70%は、実は「消化」に使われているといわれています。値にしておよそ1200kcalは消化に使われているのです。
フルマラソンに使われる平均的なエネルギーがおよそ1500kcalですので、消化にはいかに多くのエネルギーが費やされているのかが分かります。
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消化にエネルギーを費やす事はダイエットにはならない

「毎日何もしなくてもフルマラソンくらいのエネルギーを使っているという事は、運動しなくても食事するだけでカロリーを消費しているから、ダイエットに役立つし良いことじゃないか!!」
と考える方が多いのですが、実はその理論は正しくありません。その理論が正しいとしたら、毎日消化に負担がかかる食事(肉食やハイカロリーな食事)をしている人はみんなスリムという事になりますが、そんな事はありませんね。
この辺りの理論は後ほどしっかりと学習していきますが、ここで簡単に説明すると、消化にエネルギーを費やすことにより、私達の体を健康的に維持するために本来必要である「代謝」や「排泄」といった行為に使えるエネルギーが失われてしまうのです。消化にエネルギーを使いすぎた為に、本当に必要な細胞の入れ替えや不要物のデトックス、老廃物の排泄などが出来なくなってしまいます。(この「エネルギー」は「酵素」と言い換えることもできます。)
これにより、私達の体には入れ替えが出来なかった古い細胞が日々少しずつ残る事となり、排泄できなかった老廃物も蓄積されていきます。老廃物は毎日生まれてきますから、1日排泄できないと次の日も、その次の日も、毎日毎日少しずつ積み重なっていくのは想像できますね。この小さな蓄積がやがて数年後、数十年後には、なんらかの不調や病気の要因となることもあります。

消化に負担をかけないことで必要な活動にエネルギーを注ぐことができる

こうした消化を、ファスティングを行い食事を制限することで一時休止させれば、「代謝」や「排泄」にエネルギーを注ぐことができるようになります。
その結果、余分に溜め込まれていた脂肪などが代謝に用いられはじめ、体に溜まっていた老廃物や不要物がどんどん体外に排出されていくのです。こうして細胞レベルで体をリセットし、体が本来持っている「生命を維持する」ための機能を正常な状態に戻そうとする方法がファスティングです。
またファスティングでは、一定期間の食事を制限することによって、食事に対する意識にも変化が見られるようになります。リセットされたクリアな体を元に戻さないようにするためにも、ファスティング後は「何をいつ、どのような組み合わせで食べるか」を意識する生活を送ることが重要になります。

■Lesson1-2 まとめ■

  • ファスティングは断食と訳されるが、現代のファスティングは、必要な栄養素を摂取しながらデトックスを促進させる、体本来の機能をしっかりと活用した合理的な健康法の一つである。
  • 現代のファスティングは「デトックス」や「クレンズ」「プチ断食」とも言われる。
  • ファスティングを行うことで、エネルギーを消耗する「消化」を一時、休止させることができる。
  • ファスティングを行うことで、体内の「酵素」の力を活用することができる。
  • ファスティングを行うことで「代謝」が行われやすい体を作る事ができる。
  • 消化を休止させることによって、「排泄(デトックス)」を促すことができる。
  • ファスティングは「食生活」を見直すきっかけにもなる。
  • 私たちは日常的に莫大なエネルギーを毎日の食事・消化作業に費やしている。そのエネルギー量はフルマラソンを走るエネルギーに相当する。
  • 消化にエネルギーを費やすことにより、本来必要である細胞の入れ替えや不要物のデトックス、老廃物の排泄などが出来なくなる。老廃物は日々蓄積してゆき、将来の不調や病気の要因となることもある。
  • 細胞レベルで体をリセットし、体が本来持っている「生命を維持する」ための機能を正常な状態に戻そうとする方法がファスティングである。