その他、ファスティングに用いることができる物は下記などがあります。
- レモネード
- 甘酒
- スムージー
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
レモネード
レモネードを用いたファスティングは「マスタークレンズ」「レモネードダイエット」「レモネードデトックス」などとも呼ばれています。
セレブもお気に入りのマスタークレンズ・レモネードダイエット
自然療法家のスタンリー・バロー氏が開発した方法で、1940年代に初版、1976年に改訂版を執筆した「The Master Cleanser」と「Healing for the Age of Enlightenment」が起源と考えられています。元々は潰瘍の治療法として考案されたものであり、自然療法的な側面があります。
レモネードを用いるファスティングでは、他のファスティング同様固形物は一切摂取せず、手作りのレモネードにメープルシロップとカイエンペッパーを加えたものを飲用するのが基本です。これに整腸作用を目的としたハーブティーやノンカフェインの水分を多く摂取します。
※デトックス効果を高めるために、起床直後に人肌に温めた生理食塩水を飲用するソルトウォーターフラッシュ(Salt Water Flush)を組み合わせる方法も提唱されていますが、こちらはより治療としての側面が強いため、専門家の指導のもと行うほうがよいでしょう。
レモネードの作り方
材料
- 生絞り無農薬レモン果汁・・・大さじ2(約半個)
- 純粋なメープル・シロップ・・・大さじ2
※メープルの香り付けがしてある、砂糖シロップ等はNG - カイエンペッパー・・・少々
- ぬるめの蒸留水やナチュラルウォーター ・・・300cc
作り方
レモン果汁とメープル、カイエンペッパーをコップで混ぜ、ぬるめの蒸留水かナチュラルウォーターを入れて混ぜます。全部足して、300ccになるように作るのが基本で、レモンと水の割合は常に一定に保つようにします。
ポイント
- 新鮮なレモン、出来る限り無農薬ものを用いるようにします。濃縮還元のレモン果汁や加熱されているものは用いないようにします。
- メープルシロップの質も大切です。グレードA〜Cがありますが、グレードCが一番栄養分を多く含みます。また、添加物が加えられているものは避けて下さい。
ファスティングで用いる際は、レモネードは空腹時に1日6〜12杯を目安に飲むようにします。基本的にこのレモネードであればファスティング中好きなだけ飲んでもかまいません。
メリット
- レモネードはファスティングドリンクの中でも最も作りやすく、手軽である。
- レモネードの量に制限が無いため空腹を感じにくい。
考慮点
- 味に変化がないため、3日のファスティングに使用するには飽きてしまう場合がある。
- コールドプレスジュースほど多用なビタミンやミネラルが摂取しにくいため、途中で体調が悪くなる場合もあるため、体調を見ながら無理をしないことが大切である。
無農薬の安心レモンと質のよいメープルシロップが手に入れば取り組みやすいファスティングと言えます。ビヨンセやアンジェリーナ・ジョリーが実践しているファスティングとして、まずは半日〜1日のファスティングに取り組んでみるとよいでしょう。
甘酒
甘酒は「飲む点滴」と言われているほど栄養価が高い日本伝統の発酵飲料です。そのため、酵素ドリンクと同様にファスティングに用いることができます。
甘酒の栄養価
甘酒というと、ひな祭りや冬の催しなどで提供される酒粕を溶かして砂糖を加えたものありますが、ファスティングに用いる甘酒は炊いた米と米麹を発酵させて作るノンアルコールの米麹甘酒です。発酵により、砂糖を添加することなく十分な甘味を持ちます。
その栄養価は高く、必須アミノ酸、パントテン酸、ビタミンB1・B2・B6・ビオチンなどの必須ビタミンが多く含まれています。また腸内の善玉菌の餌となるオリゴ糖も豊富で、腸内環境を整える効果も期待できます。江戸時代には夏バテ防止・回復に用いられていました。
甘酒の作り方
米麹甘酒は近年では市販もされていますが、炊飯器で簡単に手作りすることもできます。手作りであれば米や米麹の品質も自分で管理できより安心です。
材料
- 米・・・1合(玄米でも白米でも可能)
- 米麹・・・2合
- 水・・・700ml程度
作り方
- 米1合を少し柔らかめに炊く。
- 炊けた米が完全に冷めたら、水700mlを足しよく混ぜる。
- ②に米麹2合を加えてよく混ぜる。
- ③を炊飯ジャーに入れ、少しだけ蓋をあけた状態(適温は55~60度)で保温ボタンを押す。1~2時間おきに混ぜながら、約10時間放置する。味見をして甘くなっていたら完成。
ポイント
- 玄米を使用する場合は無農薬のものを使用する。また発酵しやすくするために玄米を洗う際は強めにこするとよい。
- 白米や玄米に雑穀米を混ぜてもよい。
- 完成後は冷蔵庫で保管し、1週間ほどで使い切るようにする。
ファスティングで用いる際は、甘酒は空腹時に食事の変わりに1日3回、お湯などでコップ1杯(200ml)を目安に取り入れるようにします。その際は、よく噛むように甘酒の粒をすりつぶしながら食べるようにしましょう。それ以外は基本同様、ノンカフェインの水分を沢山摂取するようにします。
メリット
- 甘酒をお湯で希釈すれば、冬でも体を冷やすことなくファスティングができる。
- 一回の甘酒で十分な満足感が得られる。
- 甘酒は手軽に手作りする事が出来る。
- 質の高い甘酒を購入しても費用が手頃である。
考慮点
- 市販の甘酒は、添加物が含まれていたり、十分な発酵がなされていなかったり、パッケージする際の加熱処理により酵素が変性しているもいのもあるため、可能であれば製造方法を確認し質の高いものを選ぶようにする。
- 一日の摂取量が決まっているため、空腹を感じる時間が長い。
甘酒の粒を噛むことで食べている感覚がある甘酒ファスティングは、他のファスティングドリンクと比べて初心者の方にも取り組みやすいものです。朝食だけを甘酒に置き換える半日ファスティングもやりやすく、また甘酒はファスティングの復食としても用いることができます。
スムージー
今まで朝食をしっかり食べる生活をしてきた方、ファスティングに初めて挑戦される方には、スムージーを使う方法がお勧めです。
ファスティングは固形物や繊維質を摂取しないのが基本ですので、スムージーを用いる方法はその他のファスティングとは若干の違いがあります。正確にはファスティングではなく、スムージーを使用したデトックスプログラムという方が適しているでしょう。ただ、「消化器官を休めデトックス効果を促す」という目的においては、十分な効果が期待できます。
スムージーだからできるデトックス効果
他のファスティングドリンクとの最も大きな違いは、スムージーには繊維質がたっぷり含まれているということです。
新鮮でナチュラルな栄養素が豊富な素材を用いて手作りできる、という点ではコールドプレスジュースや低速ジューサーで作るジュースと同じですが、ジュースでは繊維質を一切取り除くことで、消化器官にかける負担を極限まで少なくしています。一方スムージーは繊維質をそのまま摂取するため、ジュースと比較すると消化に多少の時間がかかります。しかし普段の食事と比較すればその負担は格段に少なく、ジュースよりも空腹感を感じにくいというメリットがあります。また不溶性食物繊維と水溶性食物繊維をバランスよく摂取できるため、腸内環境の改善や腸でのデトックス効果はジュースよりも大きくなります。
基本のスムージーの作り方
スムージーはミキサーがあれば簡単にすぐ作れますし、季節の素材を使用したり組み合わせを変えることで、無限大のバリエーションがあります。今回は基本のスムージーの作り方をご紹介します。デトックス効果を期待するなら、グリーンタイプのスムージーがお勧めです。
材料(大きなグラスにたっぷり2人分)
- 柑橘類・・・2.3個
- りんごや梨などの季節のフルーツ・・・1個
- 季節の色の濃い葉野菜・・・2.3束
- ※どれも出来る限り無農薬栽培、自然栽培のものがお勧めです
作り方
- 全ての材料を良く洗います。農薬が気になる場合はしっかり除去しましょう。
- 適当な大きさにカットし、水分の多い物からミキサーの歯に近くなるように入れていきます。ミキサーのパワーが弱い場合は、小さくカットしましょう。
- 葉野菜は最後に入れるようにします。
- スイッチを入れ、良く撹拌します。葉野菜のグリーンが全体に滑らかに広がるくらいが目安です。あまり長時間の撹拌でスムージーが温かくなるようなら、食材をカットする大きさを小さくしましょう。
ポイント
- 柑橘類の皮と種、リンゴなどの軸や種は、消化に負担がかかる成分が含まれているため取り除きます。
- 果物:葉野菜=6:4が基本のゴールデンバランスです。最初から葉野菜を多く入れすぎると、美味しさを感じられずに続かなかったり、体が栄養素を吸収できないため、美味しいと感じる材料の割合からスタートし、徐々には野菜を増やしていくようにしましょう。
- 毎日同じ葉野菜ばかり使用すると、アルカロイド(旬の野菜に含まれがち)の影響により不調を感じる方もいます。可能な限り沢山の種類の葉野菜を用いるようにしましょう。
- 水分を入れずにミキサーが回らない場合は、水分量の多い果物を多く入れるようにします。もしそれが難しい場合は、必要最低限の水分を入れるようにします。
- 体を冷やさないように、氷や冷たい水は使用しません。また食材も出来る限り常温のものを使用し、冷えが気になる方は冷凍フルーツなどは極力控えます。
- ファスティングとしてスムージーを利用する場合は、バナナやアボカドなど消化に時間がかかる果物の使用は控えるようにします。
- 果物と野菜のみを使用し、牛乳や豆乳、市販のジュース、サプリメントなどは加えません。
完成したスムージーは、多くの人が普段食しているのものよりもずっと水分量が少なく、リッチなテクスチャーで食べ応えがあります。ストローで飲むのではなく、スプーンで食べるようにして噛みながら食べるのがポイントです。
ファスティングとして用いる場合には、スムージーを食事の変わりに一日3食取り入れ、ノンカフェインの水分をたっぷり摂るようします。朝食だけをスムージーに変えたり、3日間のファスティングのように取り組むことも可能です。
メリット
- 他のファスティングドリンクと比較して空腹感を感じにくい
- ミキサーと食材があれば短時間で簡単に作れる
- バリエーションが様々で味も楽しみながら取り組める
- 腸のデトックス効果が高いたので、便秘に悩む人に特にお勧め
- 繊維質を摂取しているため、他のファスティングよりも復食が容易である
考慮点
- 繊維質を摂取するため、他のファスティングドリンクよりも体重の減少は緩やかとなる
(便秘の解消により大幅に体重減少する方もいます)
スムージーは毎日の習慣としても取り入れやすく、また他のファスティングを行った際の復食としても利用できます。
※その他様々な作り方や取り入れ方のポイントやレシピの組み立て、スムージーの活用方法に興味があればスムージースペシャリスト資格取得講座でより深く学習することができます。
■Lesson6-9 まとめ■
- レモネードを用いるファスティングは「マスタークレンズ」「レモネードダイエット」「レモネードデトックス」等とも呼ばれ、潰瘍の治療法として考案されたものであり、自然療法的な側面がある。
- 米と米麹のみを使用して発酵させる日本の伝統的な甘酒は栄養価が高く、ファスティングドリンクとしても利用できる。
- スムージーは繊維質が含まれる点で他のファスティングドリンクとは異なるが、その腸内デトックス効果が大変高く、便秘で悩んでいる人にはお勧めの方法である。