Lesson5-2 食品添加物②

「無添加」表示は安心?

現代のヘルシー志向の広がりにより、企業側も様々な努力を行っています。表示には「保存料不使用」「合成着色料無添加」などの表示も見られるようになりました。しかし、これには落とし穴があることを知る必要があります。
無添加の前に「保存料」「合成着色料」などの言葉がついている場合、その添加物は確かに使用していませんが、裏の成分表示を見ると見た事がないカタカナが沢山並んでいることは珍しくありません。実は、その表示以外の添加物は使用している場合がとても多いのです。
また、そもそもその製品には必要ない添加物について、添加していないことを大きく表示するような場合もあります。それによりなんとなく安心な印象を持ち、表示がある製品を選んでしまいがちです。
これは製品表示として親切ではありませんが、偽っているわけでもありません。パッケージの大きな「無添加」の文字に安心していると、知らず知らずのうちに大量の添加物を摂取してしまっていることがあるのです。安易に表示に惑わされないことが大切です。
 

食品添加物を避ける最も簡単な方法

食品添加物を避ける簡単な方法は、①できるだけ素材そのままの状態の食べ物を選ぶこと、②製品の裏にある成分表示を確認すること、③安すぎる食品を選ばないこと、です。

①できるだけ素材そのままの状態の食べ物を選ぶ

食品添加物は多くの場合加工の段階で使用されます。そのため、素材そのままの食べ物や加工度合いが低いほうが、添加物の使用量が少ないといえます。

加工度が低い(添加物が少ない)<加工度が高い(添加物が多い)

  • 丸ごと葉野菜 < カット野菜やパックサラダ
  • 生のフルーツ < カットフルーツ
  • ステーキ < ハンバーグ
  • さしみ < 魚加工品
  • 焼き鳥 < フライドチキン・・・など

 ②製品の裏にある成分表示を確認する

食べ物を選ぶ時には、パッケージの表面だけでなく裏の食品表示や原料表示も確認するようにします。「原材料名」のところにはその製品の原料が表示されていますが、見た事がないカタカナの成分がたくさん並んでいたら注意しましょう。添加物が多く含まれている可能性があります。
原料表示の例
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③安すぎる食品を選ばない

日本の加工食品は、他の先進国と比較しても圧倒的に安価な物が多いと言われています。それにはもちろん理由があります。

  • 添加物を多用することで長期保存が可能になること
  • 添加物で安価に増量できること
  • 普通に食すには味も質も不十分なものでも、添加物により食品らしく加工できること

例えば、本来なら冷蔵保存しないと一日でだめになってしまう卵サンドイッチが、冷蔵のコーナーではない棚に陳列されているのはとても不思議ですね。これにより冷蔵保管費用が浮き、また廃棄ロスも少なくなるため、企業や小売店にとって大きなメリットとなります。
また、コンビニエンスストアなどの卵サンドの原料表示には「卵サラダ」という表示もありますが、これは茹でた卵にマヨネーズなどを添加して作ったものです。実はこの「卵サラダ」は卵白のみを使用し、黄色い着色料により卵らしく見せているものもあります。しかしキャリーオーバー制度により、卵サラダの添加物は表示義務がありません。そのため私たちは正確な添加物の種類や量を把握することができないのです。

食品としての不自然さは価格に反映されています。本物の食材を使用し丁寧に作られたものであれば、そんなに安価に販売できるはずがないこと、安さには理由があることを考慮する必要があるでしょう。
 

出来る選択をしよう!

身近に溢れる食べ物は食品添加物なしのものはほとんどなく、口当たり、香り、味、見た目など、人々の購買意欲や食欲を増大させることを目的として使われているものですから、誘惑に負けてしまうこともしばしばあるでしょう。その便利さのおかげで生活できている現実もあります。
添加物に過剰に反応しすぎると、なにも食べるものがなくなってしまうかもしれません。そのメリットとデメリットの両面を把握した上で、きちんと選択することが必要です。添加物の名前を全て覚えることよりも、裏の表示を見て知らないカタカナが多かったら購入しないようにする、顆粒だしを使用せずに素材の美味しさを活かして塩とこしょうで味付けしてみる、という簡単な方法でも大切な第一歩です。
添加物を一切拒絶することは難しいですが、発がん性や生活習慣病などの疾病の因子ともなりかねないものもあること、私たちの無知により愛する家族や子供達の健康までが危険にさらされていることを認識し、賢い消費者になりしっかりと選択する必要があります。
 
■Lesson5-2まとめ■

  • 「保存料不使用」「合成着色料無添加」などの表示も見られるようになったが、その表示以外の添加物は使用している場合が多いので、注意する必要がある。
  • 添加物を避ける簡単な方法は、①できるだけ素材そのままの状態の食べ物を選ぶこと、②製品の裏にある成分表示を確認すること、③安すぎる食品を選ばないこと、である。