Lesson3-5 朝食は必要か②

体のサイクルを考慮した上での朝食不必要論

夜は早めに食事を済ませたり消化に負担がかからないものを食べることで、身体は同化の時間帯に栄養素を取り込む仕事に専念できます。やがて朝が来れば、今度は体への同化によって生まれた老廃物を排泄するために体のリズムが切り替わります。
朝はこの「同化」によって生まれた、体にとって不要かつ有害ともなる老廃物を外に出さなくてはいけません。老廃物が体内に残り続けることの弊害は容易に想像できます。朝にすべきなのはエネルギーを「補給」することではなく、不要物を「排泄」することなのです。
また、体のリズムとサイクルが正しく動いている場合、朝はこれから活動するためのエネルギーが充填された状態にあります。朝食を満腹になるまでしっかり食べるということは、このエネルギーを「消化」に使用するということに他なりません。朝から、たんぱく質や脂質といった消化にエネルギーを消耗するものを摂取すれば、本来この時間で行うための「排泄」にエネルギーを使うことができなくなります
老廃物の排泄ができずに体に蓄積されたまま、電車では眠気やだるさに襲われ、会社についても頭や体がすっきりしないままやる気も起こらず、強いカフェインやエナジードリンクで無理矢理目を覚まさせる、という無意識な習慣を行っている人が本当に多いのです。
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朝食推進派の主張と検証

それに対して、朝食推進派は、「脳を目覚めさせるためにも、朝食はしっかりととるべきである」という主張をします。これは間違っているわけではありません
朝目覚めた脳は、働き始めるためのエネルギーとしてブドウ糖を要求します。これに応えるためには、糖分を摂取するのが効率的です。しかし、必要な栄養素を消化・吸収のしやすいものを食べれば良いのであって、消化に負担のかかるもの(たんぱく質や脂質)に血糖値を急激に上げる精製された炭水化物を合わせて、朝から「しっかり」食べる必要はないのです。
日本の朝食のイメージ図としても様々な品が並んだフルコースのような和朝食をイメージすると、日本の朝食とは古くからそうあったような気がしますが、実際のところ、1日3食という習慣が定着したのは日本では近代(明治時代)以降のことで、それまでは1日2食が普通だったのです。もちろん、洋食の朝食であっても、パンにベーコンに卵にポテト、などの皿一杯の朝食は必要ないのです。
 

本当に朝食は不要?

ここまで学習を進めると、朝食はやはり不必要であると思う方も多いでしょう。しかし、どんな状況の人にとっても間違いなく朝食不要論が正しいか、というとそんなことはありません
例えば昼食を自由にコントロールする事が難しいサラリーマンやOLの場合です。
朝食を食べず夜からの絶食時間が長い場合、次に食べる食事(多くの方は昼食)の吸収率が格段に上がります。これはメリットもデメリットもあります。
もしたっぷりの新鮮なサラダやスムージーなど、栄養豊富でかつ消化に負担がかからない昼食をとれる場合は、その栄養素を最大限吸収できるためとてもよい状態といえます。しかし、一般的なサラリーマンやOLの昼食は外食が多く、炭水化物と動物性たんぱく質、脂肪分が中心となり野菜はほとんどなく、かつ添加物を避けることができません。これらのものが余す事無く体に吸収されるとしたらどうでしょうか。さらに、そのような食事は消化に負担もかかるため、食後の眠気は避けられないのです。
午後からの仕事をはかどらせるのは、難しいでしょう。
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また朝全く何も食べない空腹には耐えられない方や、少しでも口にしたほうが1日のやる気が出るという方、肉体労働が中心の方ももちろんいらっしゃるでしょう。そのような方にとってはやはり朝食は必要なのです。
では、消化や体のサイクルを考慮した上での理想的な朝食というのは、いったいどんな物なのでしょうか。
 

お勧めbreakfast

朝食に理想的な条件には、①消化器官に負担をかけないもの、②消化にエネルギーを費やさないもの③吸収効率がよいもの、④必要な栄養素が効率よく摂取できるもの、⑤準備に時間がかからないもの、などが挙げられるでしょう。
朝食はファスティング明けの復食と同じイメージで、胃に優しいものを摂取するのが理想的です。お粥やスープ、フルーツをカットして食べたり、生の果物や野菜で作った生絞りフレッシュジュースやスムージーなどが適しているといえます。特に栄養素や吸収率の事を考えると、生絞りフレッシュジュースやスムージーが最適と言えるでしょう。
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このような朝食にすることで、体は「消化」という作業に多大なエネルギーを消耗する必要はなく、その時間帯本来の業務である「排泄」にエネルギーを注ぐことができます。
 

排泄の時間の重要性を認識しよう!

冒頭で述べたように、体重が増えたり、体調が良くなかったりする原因は、その多くが体に蓄積された老廃物が原因です。「排泄」の重要性を考えれば、朝(午前4時から正午の時間帯)の過ごし方は、とても大切であることがわかります。
朝食をしっかり食べる習慣のある人には衝撃的な話かもしれませんが、ファスティングコンサルタントとしてせっかくこの知識を得たのであれば、だまされたと思ってまずは1週間朝食だけでも変えてみてください3週間継続すれば、もうあなた自身の体の変化を実感していることでしょう。この実感のしやすさが、続ける上で最も重要になるのです。あなたの変化に周りも気になり始めるはずです。
一度体のサイクルを知れば、何を食べるかよりも、食べたものが私たちの体でどうなるか、が重要であることがわかります。
 
■Lesson3-5 まとめ■

  •  夕食を早い時間に食べたり、消化に負担がかからないものにすることにより、朝には体への同化によって生まれた老廃物を排泄するために体のリズムが切り替わる。朝はこの「同化」によって生まれた、不要かつ有害ともなる老廃物の排泄をしっかりと行う必要がある。
  • 朝にすべきなのはエネルギーを「補給」することではなく、不要物を「排泄」することである。朝食を満腹になるまでしっかり食べることは、夜の間に充填されたエネルギーを「消化」に使用するということとなり、本来この時間で行うための「排泄」にエネルギーを使うことができなくなる。
  • 朝目覚めた脳は、働き始めるためのエネルギーとしてブドウ糖を要求するため、朝食が必要という主張も間違いではない。しかし朝食には必要な栄養素を消化・吸収のしやすいものを少量食べる事が適しており、朝から消化に負担がかかるものをしっかり食べる必要はない。
  • どんな状況の人にとっても朝食不要論が正しいということはない。昼食を自由にコントロールする事が難しい人は、動物性たんぱく質や脂質、炭水化物の割合が高く添加物も多い昼食の吸収率を上げすぎないために、消化に負担がかからない朝食の摂取はメリットがある。また朝の空腹には耐えられない人や、肉体労働が中心の人にとっても朝食は必要な場合がある。
  • 消化や体のサイクルを考慮した上での理想的な朝食とは①消化器官に負担をかけないもの、②消化にエネルギーを費やさないもの③吸収効率がよいもの、④必要な栄養素が効率よく摂取できるものなどの条件を考慮し、生絞りフレッシュジュースやスムージーが最適である。
  • 体重の増加や体調不良の原因は、その多くが体に蓄積された老廃物である。「排泄」を行う朝(午前4時から正午の時間帯)のすごし方は、とても大切である。
  • まずは1週間朝食を変えてみることから始めると良い。3週間継続すれば、もう体の変化を実感する人が多く、その実感が継続するための原動力となる。