私達が最もキリスト教にふれる機会といえば、やはりクリスマスでしょう。ほとんどの人は、ツリーとサンタクロースと一緒に楽しく美味しい食事が連想されるでしょうから、「断食とキリスト教」というとイメージしにくいかもしれません。
しかし、実はキリスト教のお祭りや聖書にも、ファスティングの源流が見受けられます。
イースター 復活祭
色とりどりの可愛らしい卵、イースターエッグは日本でもおなじみですね。これは「イースター」というお祭のときに作られる卵ですが、そもそも「イースター」とはどんなお祭なのかご存知ですか?
イエスは十字架にかけられて亡くなりました。しかしその後、生き返って復活を果たしたというのは、キリスト教徒でなくとも知っている有名な伝説です。そのキリスト復活の記念日がイースター、すなわち「復活祭」です。欧米ではクリスマス以上に重要な日とされ様々なイベントが催されます。冒頭に述べたイースターエッグは、宗派を問わずどこででも作られるようです。
イースターは、クリスマスのように日が決まっている行事ではありません。「春分の日の後の、最初の満月の、次の日曜日」という少々ややこしい決まりがありますが、日程が毎年変わる行事です。
イースター前の大斎
宗派によって異なるものではありますが、カトリック教会ではイースターの前には40日間の「大斎」(たいさい または「四旬節 しじゅんさい」)という期間が設けられています。「斎」の字をみてもわかるように精進潔斎する期間というわけです。
40日間の由来はイエスが荒野で「断食」をした期間であり、それに基づいて40日間の「断食」をするという習慣が生まれました。実際には、46日前の水曜日(これを「灰の水曜日」といいます)から「大斎」が始まります。これは日曜日には「断食」はお休み、という習慣があったからで、その日曜日に断食をお休みする日数も計算されています。
この「灰の水曜日」の直前に行われるのが、「カーニバル(謝肉祭)」です。古代や中世の信者たちは大斎の期間中肉を絶っていましたから、その断肉の前に食べてしまえ!というわけです。
この「断食」は、現在では完全に食を絶つのではなく、控えめな食事にするという方法で行われることが多く、病気やけがをしている人、妊婦などはこの「断食」が免除されます。毎週金曜日、あるいは「灰の水曜日」と「聖金曜日(復活祭直前の金曜日)」には十分な食事は1日に1度、朝ともう1食はわずかなものとするというのが一般的です。
■Lesson2-3 まとめ■
- イースターはキリストが復活した記念日を祝う欧米諸国のイベントであるが、その前には精進潔斎する40日間の「大斎」という期間が設けられている。
- 40日間の由来はイエスが荒れ野で「断食」をした期間であり、それに基づいて40日間の「断食」をするという習慣が生まれた。実際には46日前の「灰の水曜日」から大斎が始まる。
- 現在では完全に食を絶つのではなく、控えめな食事にするという方法で行われることが多く、病気やけがをしている人、妊婦などはこの「断食」が免除される。