Lesson4-6 女性ホルモン

牛乳や乳製品、カルシウムについて詳しく学習してきましたが、それには理由があります。女性にとって、これまで学習してきた牛乳のデメリット以外にも、さらに気になる影響があると近年研究されてきているからです。
ここでは女性ホルモンの知識を深めながら、食が私たちのホルモンバランスに及ぼす影響を確認していきましょう。女性にとって、若々しさや健康的な美しさの秘訣とも言える女性ホルモンの知識をしっかり身につけておく事はとても重要です。
 

乳製品と女性ホルモン

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女性の場合、乳や乳製品を摂取しすぎると、女性ホルモンのバランスが崩れ、子宮筋腫や月経困難症、乳がんなどのトラブルを抱えやすくなります
その原因は、乳製品に含まれているIGF-1(インスリン様成長因子)、プロラクチン(黄体刺激ホルモン)、ダイオキシンなどの疑似エストロゲンといわれる物質です。これらは乳がんの細胞を増殖させる働きも持っており、発症のリスクを高めます
また女性のホルモンのバランスを崩すため、月経困難症や、子宮筋腫などの女性独特の不調を発症させやすくなることが指摘されています。
チーズやヨーグルトなどの乳製品が好きな女性は多いかと思いますが、過剰な摂取は消化器官に負担をかけるだけではなく、ホルモンのバランスも崩しかねませんので、食べ過ぎは禁物です。
しかし、大好きな物を我慢するストレス過多もよくないので、ケーキやお酒のように嗜好品として、本当に食べたい時に適量を楽しみながら取り入れるのがお勧めです。
美容食として話題に上りやすいヨーグルトも、決してメリットだけではない事も覚えておきましょう。メリットもデメリットも知った上で、どのような選択をするのかが大切です。
 

女性のホルモンについて

女性の体を女性たらしめている女性ホルモンですが、普段意識して生活することはあまりないでしょう。月経周期や妊娠など特別なことがないと気にすることもありませんが、日々女性の体内で重要な役割を果たしています。
それぞれの働きはどういったものなのでしょうか。

 エストロゲン

卵胞ホルモンともいいます。二次性徴を促し、卵胞の発育を促します。子宮粘膜を増殖させるので子宮粘膜が厚くなり、受精卵を待つ準備ができます。

 プロゲステロン

黄体ホルモンともいいます。排卵後急激に増加し、受精卵がうまく着床するように働きます。また体温中枢に作用し、基礎体温を上げます。排卵を抑制し、妊娠を維持させるように働くホルモンです。

この2つは月経周期に合わせて増えたり減ったりするホルモンなので、セットで覚えておくとよいでしょう。なお、いずれもホルモンの総称で、卵巣から分泌されます。

オキシトシンとプロラクチン

乳児が乳首を吸うとオキシトシンというホルモンが分泌されて、乳汁(母乳)が多量に産生されます。乳汁分泌を促進させるホルモンには、もう一つプロラクチンがあります。プロラクチンは乳腺に作用して乳汁分泌を促します。このプロラクチンは、黄体に作用してプロゲステロンなどの分泌も促すため、黄体刺激ホルモンとも呼ばれています。

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排卵までは、エストロゲンのほうが多く、排卵後はプロゲステロンが多くなります。つまり、エストロゲンの作用をプロゲステロンが抑えて、受精卵が着床する体制を維持するわけです。
このバランスが崩れてエストロゲンが優位になりすぎると、女性に特有の様々な症状が現れてきて、月経前症候群や、生理痛、やがてはガンなどを引き起こす要因となります。
エストロゲンは卵巣で作られますが、その原材料は脂肪です。ですから、体に脂肪が増えればエストロゲンも増えることになります。また食物連鎖の結果、牛乳などの動物の体内で凝縮されたPCBやダイオキシンなどの化学物質の中には、エストロゲンに似た作用を持つものもあり、これらはホルモンかく乱物質などと呼ばれ、女性のホルモンバランスを崩すことが指摘されています。
牛乳をはじめとする動物性の食品は控えたほうがよいのは、こうした理由もあるのです。
 

更年期障害

更年期障害は、プロゲステロンとエストロゲンのバランスが崩れることによって生じます
閉経時、プロゲステロンは閉経前のおよそ1%にまでレベルが下がりますが、エストロゲンは50~60%程度までしか減少しません。閉経前からエストロゲンレベルの高い女性は、プロゲステロンの絶対的な不足により、エストロゲン優位の状態に陥ります。その結果、自律神経のバランスを崩し、ほてりや気分の激しい変動、動悸、めまい、不眠等々の不快な症状が現れるのです。
更年期障害を防ぐためには、閉経前からエストロゲンレベルが高くなりすぎないよう、これまで脂肪分を多く摂取しすぎてきた人は控えていき、摂取する場合も良質な脂肪を適量含む食事をするように心がける必要があります。
 

女性ホルモンと豆乳

大豆に含まれる大豆イソフラボンは、植物エストロゲンの一つです。化学構造が女性ホルモンのエストロゲンに似ており、エストロゲンレセプター(受容体)に結合して、骨粗しょう症の予防や、乳がん等の予防効果が期待されています。
マクロビオティックなどの流行により、日本で最も手に入りやすい植物性ミルクの豆乳の人気は高く、美容や健康に気を遣う多くの女性が取り入れていますね。
しかし日常的な摂取のし過ぎは、逆に乳がんの発症や再発のリスクを高めるという可能性も指摘されています。また「日本では古くから大豆を用いてきたために豆乳は安全だ」という主張を耳にしますが、これ関しても鵜呑みにすることはできません。
日本人は古くから大豆を食事に取り入れてきましたが、それは納豆や味噌などの発酵させた大豆です。大豆には反栄養素という栄養の吸収を妨げ消化に負担をかける成分が含まれており、生で食するには適していません。これは発酵することで取り除かれるため、古来より発酵食品としての大豆が用いられてきました。
長い歴史の中で、生の大豆をそのまま食べるという食文化はほんのここ数年のできごとであり、まだその有効性と安全性については確立されていないのが現状です。また、子供や男性が豆乳を常飲することでホルモンバランスが崩れるという現象も報告されています。
健康に良いという噂にのせられて、過剰に摂取することのないようにしましょう。いくら植物性だとはいえ「過ぎたるは及ばさるがごとし」。しっかりとメリットとデメリットを知った上で、自分が納得できる判断をする力が必要です。
 
■Lesson4-6 まとめ■

  • 牛乳や乳製品を摂取しすぎると、女性ホルモンのバランスが崩れ、子宮筋腫や月経困難症、乳がんなどのトラブルを抱えやすくなる。
  •  乳製品による様々な婦人病の原因とされているのが疑似エストロゲンといわれる物質で、これらは乳がんの細胞を増殖させる働きも持ち、発症のリスクを高める。また女性のホルモンのバランスを崩すため、月経困難症や、子宮筋腫などの女性独特の不調を発症させやすくなることが指摘されている。
  • 卵胞ホルモンといわれるエストロゲンと黄体ホルモンといわれるプロゲステロンは、日々バランスをとることでスムーズに働くが、バランスが崩れエストロゲンが優位になりすぎると、女性に特有の様々な症状が現れ、月経前症候群や、生理痛、やがてはガンなどを引き起こす要因となる。
  • エストロゲンのその原材料は脂肪であり、体に脂肪が増えればエストロゲンも増える。また動物体内で凝縮されたPCBやダイオキシンなどの化学物質の中には、ホルモンかく乱物質といわれるエストロゲンに似た作用を持つものもあり、女性のホルモンバランスを崩すことが指摘されている。
  • 更年期障害は、プロゲステロンとエストロゲンのバランスが崩れることによって生じる。特に閉経前からエストロゲンレベルの高い女性は、プロゲステロンの絶対的な不足によりエストロゲン優位の状態に陥り、自律神経のバランスが崩れ、ほてりや気分の激しい変動、動悸、めまい、不眠等々の不快な症状が現れる。
  • 豆乳はヘルシーな植物性代替乳として日本で人気があるが、日常的な多量の摂取は、逆に乳がんの発症や再発のリスクを高めるという可能性や、子供や男性が豆乳を常飲することでホルモンバランスが崩れるという現象も報告されている。
  • 生の大豆を食する食文化はほんのここ数年のできごとであり、まだその有効性と安全性については確立されていないのが現状である。
  • 様々な物はメリットとデメリットの2つの側面を持っている。健康に良いという情報や流行に安易に流されず、しっかりと情報を広く収集した上で、自分が納得できる判断をする力が必要である。